読み物・まちの記憶

道後温泉駅と放生園 ― 湯の町の玄関と、からくり時計

1895年開業、明治の洋風駅舎として親しまれる道後温泉駅と、駅前の放生園。復元された駅舎の物語、湯釜や足湯、坊っちゃんからくり時計まで、湯の町の玄関口を一次資料にもとづいて紹介します。

湯の町の玄関口、明治の洋風駅舎

道後温泉街の入り口に建つ道後温泉駅は、湯の町の玄関口です。伊予鉄道城南線の終着駅で、開業は1895年(明治28年)8月22日。ちょうど夏目漱石が松山に赴任した年にあたります。明治の洋風建築の趣をたたえたハイカラな駅舎は、道後の景観の象徴のひとつになっています。

「復元された」駅舎という物語

いまの駅舎は、じつは開業当時のものそのままではありません。1911年(明治44年)に建てられた旧駅舎は老朽化のため1985年(昭和60年)に解体されましたが、翌1986年(昭和61年)、旧駅舎を忠実に再現するかたちで新しく建てられました。その際、古い建材の一部が再利用され、明治の意匠が受け継がれています。2017年からは駅舎の一角にカフェが入り、歴史ある建物が今も現役の駅として使われ続けています。

放生園 ― 足湯とからくり時計

駅を出てすぐの小さな広場が「放生園(ほうじょうえん)」です。もとは放生池があった場所で、1975年(昭和50年)に園として整備され、かつて道後温泉本館で使われていた湯釜が据えられました。そして1994年(平成6年)、道後温泉本館の建設100周年を記念して設けられたのが、坊っちゃんからくり時計です。時間になると『坊っちゃん』の登場人物たちがせり上がって動き出し、旅人の目を楽しませます。

待ち合わせと、湯上がりのひととき

放生園には無料の足湯もあり、湯上がりのほてった足を休めたり、からくり時計の仕掛けを待ったりと、道後の旅の「間(ま)」を過ごす場所になっています。駅前広場には夜になると坊っちゃん列車の車両が留め置かれ、ライトアップされた姿も見どころです。湯につかり、足湯で涼み、明治の駅舎を眺める――道後の一日は、この小さな広場から始まり、ここへ帰ってきます。

※ 各施設の営業・運行状況は変わる場合があります。最新の情報は各スポットの詳細ページと公式情報をご確認ください。

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出典・参考資料

最終確認: 2026年7月