読み物・温泉文化
道後温泉の湯はどこから来るのか ― 19本の源泉と、四つの分湯場
道後温泉で開発された源泉は29本、いま登録されているのは19本。20度から55度までばらばらの湯を、加温も加水もせず混ぜ合わせて湯温を調える「分湯場」の仕組みと、その現場を見学できる第4分湯場を、松山市の公式資料にもとづいて紹介します。
29本を掘り、19本が生きている
道後温泉では、これまでに29本の源泉が開発されてきました。このうち現在、温泉として愛媛県に登録されているのは19本です。源泉は1号から29号まで番号で呼ばれ、温度も湧出量もそれぞれ異なります。最も低いものは20度ほど、最も高いものは55度ほどで、その幅は30度以上にもなります。1号源泉は現在くみ上げていませんが、道後温泉本館の神の湯男子浴室には、その井戸跡が今も表示されています。
加温も加水もしない、という選択
温度のばらばらな源泉を、そのまま浴槽へ送ることはできません。そこで道後では、くみ上げた湯をいったん「分湯場」と呼ばれる施設に集めます。分湯場は四か所。ここで温度の高い源泉と低い源泉を混ぜ合わせ、一定の温度に調えたうえで、外湯や各旅館へと配っています。
注目したいのは、この温度調整に加温も加水も用いていないことです。温度の違う源泉どうしを混ぜ合わせるだけで湯温をつくる――源泉の本数と、20度から55度という温度の幅があるからこそ成り立つやり方だといえます。
湯が集まる現場を見られる、第4分湯場
四か所の分湯場のうち、湯が集められる様子を見学できるのは第4分湯場だけです。道後温泉駅から西へ徒歩1分、松山市道後湯之町7番28号にあり、見学室は午前9時から午後8時まで、年中無休で開放されています(大掃除などで臨時に休むことがあります)。
ここには、敷地内にある4本と、少し離れた場所にある2本、あわせて6本の源泉から湯が集まります。見学室では正面に並んだ5本の配管から源泉が流れ出す様子が見られ、温度計でそれぞれの温度を確かめることもできます。建物正面の右手には手湯があり、50度前後の源泉に、温度調節を経ないまま触れることができます。
建物は鉄筋コンクリートの平屋建てで、敷地面積115.35平方メートル、建坪39.2平方メートル。駐車場がないため、公共交通機関での来訪が案内されています。
集めて、混ぜて、配る
道後の湯は、施設ごとに個別の源泉を抱えるのではなく、集めて、混ぜて、配られます。泉質はアルカリ性の単純温泉です。外湯に入っても旅館に泊まっても、同じ仕組みを通った湯につかることになる――道後の湯を、建物や歴史とは別の角度から眺めるなら、この配湯の仕組みが一つの入口になります。湯につかる前に第4分湯場を訪ね、配管を流れる湯と手湯の熱さに触れておくと、そのあとの一風呂の感じ方が少し変わるかもしれません。
※ 源泉の本数・温度・見学時間は変わる場合があります。訪問前に公式情報をご確認ください。
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出典・参考資料
最終確認: 2026年7月